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DXの勘違い

2022.12.07 DX

DXと似たような意味を持つ言葉としてBPRがあります。

 

BPRとは、「Business Process Re-engineering:ビジネスプロセス・リエンジニアリング」の略称で、日本語では「業務改革」と訳されています。

 

BPRは、1993年にアメリカで出版された『リエンジニアリング革命』という書籍がベストセラーとなり、世界的に広まりました。同書では、BPRは、「コスト、品質、サービス、スピードのような、重大で現代的なパフォーマンス基準を劇的に改善するために、ビジネスプロセス根本的に考え直し、抜本的にそれをデザインし直すこと」と定義されています。

 

「プロセスをデザインし直す」ということなので、ビジネスモデルは変わりません。

 

多くの企業は、業務効率と生産性を向上し、ビジネスのパフォーマンスを改善するためにITツールを活用します。たとえば、社内コミュニケーションツールとしてSNSやWeb会議システムを導入することでマネジメント工数を削減し、経理や労務管理システムのクラウド化によりペーパーレスを実現します。

 

これはBPRによるプロセス見直しのひとつであり、DXとは異なります。

 

DXとは、「Digital Transformation:デジタルトランスフォーメーション」の略称で、2018年に経済産業省が、DX推進を目指す企業に向けて発表した『DX推進ガイドライン』において下記のように定義されています。

 

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企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること

 

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「ビジネスモデルを変革」することで競争優位性を確立します。

 

つまり、ITツールを導入して業務をデジタル化するにとどまらず、顧客のニーズに応えるために業種やサービスをも変えることで、少子高齢化による労働人口が減少する時代においても成長し続ける企業を実現します。

 

また経済産業省は、2018年に発表した『DXレポート』のなかで、日本の企業がDXを推進できない場合は、業務効率や競争力の低下が避けられず、2025年以降は年間最大12兆円の経済損失が生じると想定しています。(2025年の崖)

 

2025年まであと3年。

 

「2025年の崖」を克服するための現状の課題を把握できていますか?