- 左から:劉 陽平さま/榎 初美さま/岩瀬 祐子さま/川村 幸子さま
「特に大きな問題もなく運用できているのに、なぜ今のやり方を変えなければいけないのか」——新しい取り組みを持ちかけたとき、現場からこう返された経験はないでしょうか。
国分グループ本社株式会社の業務オペレーション統括部は、グループ企業全体の業務効率を高める役割を担う部署です。2026年春、同部はグループの国分首都圏株式会社に、仕入明細のデータ化を『受発注バスターズ』へ切り替えてはどうかと提案しました。それまで使っていた外部委託型のサービスが契約満了を迎えるためです。
『受発注バスターズ』は、その時点ですでにグループ内のいくつかの企業で使われていたツールでした。北海道から中部・関西まで、エリアカンパニーや物流会社へ口コミで広がり、取材時点では9企業で稼働しています。とはいえ、すでに動いている仕組みからの「切り替え」は、グループでも初めてのケースでした。
今回は、提案した側である業務オペレーション統括部の川村さまと、提案を受けた側である国分首都圏 経営統括部の岩瀬さま・榎さまに、切り替えに挑んだ1か月をふり返っていただきました。
<導入前の課題>
- ・紙の仕入明細のデータ化に、依頼から納品まで2日程度のリードタイムがかかっていた
- ・作業を委託先に任せきりで中身が見えず、費用の妥当性を判断しづらかった
- ・利用中のサービスが契約満了を迎え、業務を止めずに移行する必要があった
↓
<導入後の効果>
- ・仕入明細のデータ化にかかる時間が、2日程度から5〜10分へと大幅に短縮された
- ・商品締め作業に1日の余裕が生まれ、後工程の担当者からも「助かる」と声が上がった
- ・1か月の試用で現場が自分の手で操作し、切り替えへの不安を解消できた
- ・従来ツールからの切り替えのため、切り替えに伴う追加コストがほぼ発生しなかった
会社情報
『国分グループ本社』
国分グループ本社は1712年、日本橋で創業。醤油醸造業に端を発し、1880年に食品卸売業へ転換。総合卸売業として、全国の小売業・外食産業などに低温度帯を含む食品全般を供給する。また情報・マーケティング支援、オリジナル商品開発(K&K等)、輸出入・地域共創など、食品流通のインフラを担っている。
- ・企業概要は以下を参照
- ・国分グループ本社(株) https://www.kokubu.co.jp/
- ・国分首都圏(株)https://www.kokubu.co.jp/shutoken/
お話を伺った方
- ・川村 幸子さま(国分グループ本社株式会社 業務オペレーション統括部 業務オペレーション部 企画・開発課 主幹)
- ・岩瀬 祐子さま(国分首都圏株式会社 経営統括部 グループ長)
- ・榎 初美さま(国分首都圏株式会社 経営統括部 主任)

- 川村 幸子さま(国分グループ本社株式会社 業務オペレーション統括部)

- 岩瀬 祐子さま(左)・榎 初美さま(右)(国分首都圏株式会社 経営統括部)
依頼したデータが届くまでに、2日程度のリードタイムがかかっていた
――まず、今回の対象となった業務を教えてください。
榎さま:お得意先さまから届く仕入明細を、紙の明細ならPDFにして、指定したフォーマットに転記するという業務ですね。当社システムに取り込めるように加工するためには、フォーマットを揃えてデジタルデータにしないといけません。お得意先さまから届く帳票の形式も会社ごとに違いますから。
――『受発注バスターズ』の導入以前は、どのように進めていたのでしょうか。
岩瀬さま:お得意先さまから、さまざまなかたちで明細が届きます。基本は紙が多いのですが、FAXや郵送、当社のお得意先担当が直接受け取りにいくケースもあります。そうして届いた紙を私たちがPDF化して、データ化を代行する委託先にメールで送るという流れでした。
川村さま:私たちは勝手に「システムの裏で小人さんが動いている」なんて言っていました(笑)。メールで帳票を送ると、委託先ではおそらく人がデータを入力して、目視でチェックしていると思います。人がやることなので、どうしても作業に1~2日はかかる。ただ、ミスがなく信頼性も高かったため「多少時間がかかっても2日くらいなら許容範囲」と認識されていた、と聞きました。
――委託先から届いたデータは、すぐ基幹システムに取り込めるのでしょうか。
岩瀬さま:いいえ。その前にまず、お得意先さまの明細に書かれた商品番号と、当社の中で管理している商品番号を突き合わせて、間違いがないかを確認します。明細が紙の状態だと簡単に検索もできないので、1枚1枚目視で確認するしかない。データ化されていれば簡単に検索して修正を加えられるので、アナログなデータがデジタルになるというのは、すごく大きな意味があります。

- 「アナログなデータがデジタルになるというのは、すごく大きな意味がある」(岩瀬 祐子さま)
――以前のやり方に、何か課題を感じていらっしゃったんですか。
岩瀬さま:安定して稼働できていたものの、実はいくつか課題もありました。一つはリードタイムの問題です。データ化を依頼して戻ってくるまでに、どうしても2日程度かかってしまう。スピード面に課題がありました。もう一つは、すべて委託先に丸投げだったので、委託先で誰がどのような作業をしているのか一切見えなかったことです。
川村さま:サービスの仕組みが分からなかったので、お金を払う側からすると、その金額が適切かどうかも分かりません。「人間がダブルチェックしています」と説明されても、実は裏でAIが動いているかもしれない。今は安定して稼働していても、その費用をずっと払い続けるのが良いのか判断できない。新しく着任赴任した上司に「なぜそのツールを使っているの?」と聞かれても、「以前からずっとこのツールなので」としか言えません。そういった点も今回の見直しにつながりました。
仕組みを集約したい本社と、業務を止められない現場の葛藤
コストメリットなどを考慮して、グループで使用する仕組みの集約と標準化を進めたいグループ本社と、新しいツールの導入による混乱で業務が止まるリスクを避けたい現場。どちらの考えも正しいだけに、話は簡単には進みません。
――今回の切り替えは、どなたが持ちかけたのでしょうか。
川村さま:本社の業務オペレーション統括部から国分首都圏に提案しました。ただ、まったくの新規ツールを一から導入するのはハードルが高いですし、実務を担当される方の不安も当然大きくなる。その点、受発注バスターズさんとは3年ほどお付き合いがあり、すでにグループの複数企業で導入実績があったので、こちらの導入を提案しました。それに、サポート対応がとてもスムーズでいつも大変助かっていたので、ここなら安心かなと。
――現場側に抵抗はありませんでしたか。
岩瀬さま:正直……かなりありましたね(笑)。
川村さま:それはそうですよね。ただでさえ忙しい中で、新しいツールに切り替えるとなると、通常業務と並行して新しいやり方を覚えなければならない。万が一ミスが起これば、業務が止まってしまう。反対意見が出るのは当然です。ただ、こちらとしても業務オペレーションを改善するにあたって、ECRS(業務を「なくす・まとめる・入れ替える・簡単にする」で見直す考え方)の原則に沿って、システムはできる限り統合していきたいという想いがありました。
榎さま:おっしゃることはもちろん分かります。ただ、現場としては、今の仕組みを変えた後のイメージが具体的に想像できず、ミスが起きたらどうしようという不安を拭い切れませんでした。

- 「変えた後のイメージが具体的に想像できなかった」と当時をふり返る榎 初美さま
――グループ内の他の企業には、どのように広がっていたのですか。
川村さま:正直に言うと、口コミです。「いいのがあるよ」という話がグループ内で回って、新規でツールを探していた部署から「うちも検討したいけれど、どんな感じ?」と声がかかる。ウェブの操作説明会に同席してもらったり、実際の画面を見てもらったり。そうして「これ、うちにも使えそうだね」と自然に広がっていきました。ただ、それはあくまで自分たちで能動的にツールを探していたケースです。今回のように、今使っているツールの「切り替え」を本社から提案するというのは初めてでした。
不安を消したのは、「これなら使えそうだ」というリアルな操作感
説明資料をどれだけ丁寧に作っても、言葉を尽くして説明しても、現場の不安はなかなか消えません。今回の切り替えを動かしたのは、資料ではなく「自分の手で触れられる環境」でした。
――現場の方への説得は、どのように進めたのでしょうか。
川村さま:受発注バスターズを、国分首都圏の環境でテスト的に使わせてもらえないか相談しました。普段はやられていないと思うのですが、グループ内で導入実績があることもあり、トライアルで使わせてもらえたのが非常に大きかったです。国分首都圏に実際に届く帳票の読み取りと出力形式の設定をしていただき、マニュアル動画をもらって、お試しの使用が始まりました。
――実際に触ってみて、印象はどう変わりましたか。
榎さま:使ってみたら、意外にも「全然難しいことがない」と感じました。画面操作がとてもシンプルで、読み取りたい箇所と転記先さえ決めれば、あとは一切迷わずに進めることができました。
岩瀬さま:「これなら誰にでも使えそうな仕組みだな」と思いました。テストで検証したときも読み取りと出力の精度がとても高く、これまで委託していた先と遜色ないレベルで使えるところが、すごくいいなと。
川村さま:テスト期間中、使い方についての問い合わせや相談もほぼなく、受発注バスターズさんに説明会の実施を依頼する必要さえありませんでした。操作が本当にシンプルで分かりやすいので、その実感が現場の安心感につながったと思います。

- 「実際の操作感が何よりの説得材料」(川村 幸子さま)
約2日のリードタイムを数分に短縮。締め日に生まれた1日の余裕
毎月の締め日、後工程の担当者がぎりぎりまで計上作業に追われている——そんな光景は、多くの会社にあるのではないでしょうか。国分首都圏でも、これは大きな課題でした。
――導入後、どのような効果が出ていますか。
岩瀬さま:データ化に2日程度かかっていたのが5〜10分に短縮されたことで、業務に大きな余裕が生まれました。特に締め日の間際は、データを渡すのがいつもギリギリになってしまい、後工程の方の業務を圧迫していました。それがなくなったことで、お互いに心理的なゆとりも生まれました。
川村さま:それに加えて、今回は従来ツールからの「切り替え」だったため、切り替えに伴う大きなコストが発生しなかったことも非常に大きかったです。いくら安くても、便利でも、また会社の方針であっても、現場の手間が増えるようなツールは避けたいと考えていましたから。
榎さま:本当に、それは大きいですね。後工程の方からも「今までより余裕を持ってデータをもらえるようになって、すごく助かります」と言っていただいています。
岩瀬さま:締め日は動かせないので、みんなで何とかして間に合わせようと、遅くまで残ってやる方もいます。そこに少しでもゆとりを持てるようになっただけでも、受発注バスターズを導入した価値はあったと思います。
川村さま:また、操作が本当に簡単なので、たとえば担当の方が急にお休みになっても、マニュアルさえあれば別の方が問題なく対応できる。その点もリスクヘッジにつながっています。
――他グループ企業に『受発注バスターズ』をおすすめするとしたら、何と伝えますか。
岩瀬さま:使い勝手は本当にいいですね。同じような業務をしているグループ企業や部署があるなら、操作もとても簡単なので「こういうものもありますよ」とおすすめできると思います。これまでのやり方を変えるのは勇気がいることですし、私たちも、言葉だけで説明されていたときは拒否反応が大きかったです。だからこそ、実際に触る前に判断せず、ぜひ一度、他グループ企業での使用感や操作画面を見てみるのがいいと思います。
――ありがとうございました。
まとめ
口コミで各グループ企業に広がっていたツールも、「切り替え」となると話は別でした。新規導入なら「便利になりそう」で前に進みます。けれど切り替えは、いま動いている業務を止めるかもしれないリスクと隣り合わせ。だからこそ、資料や説明だけでは現場の不安は消えません。国分グループ本社の事例が示すのは、実データを入れた環境を1か月渡し、現場が自分の手で操作してみることの効果でした。2日かかっていた業務が5〜10分に短縮されたことで締め日に1日の余裕が生まれ、後工程の担当者が「助かる」と言えるようになった——効果は、いつも誰かの働き方として現れます。
