入船鋼材株式会社は、鋼材の販売から製造まで幅広く手がける企業です。同社では、顧客ごとに規格やサイズが異なる製品を扱う中で、受発注業務が一部の担当者に偏りやすい状況にありました。担当者が不在のときに業務が滞るおそれがあるうえ、手入力によるミスや、その確認・修正対応が現場の負担になっていたそうです。
そこで『受発注バスターズ』を導入。特殊な仕様を含む注文書のデータ化を進めたことで、受発注業務の標準化が進み、対応しやすい体制づくりにつながりました。今回は、導入の背景と現場で感じた変化について、同社 営業部 業務課 課長の太田亮さまと、同課の板垣友明さまにお話を伺いました。
<導入前の課題>
- 顧客ごとに注文書の書式や仕様が異なるため、受発注業務が複雑になり属人化していた
- 月に約300時間を費やして手入力しており、入力ミスや確認漏れが発生していた
- 製品のサイズ間違いによる再加工などで、会社の損失や信頼低下のリスクがあった
<導入後の効果>
- 基礎構築を任せつつ自社でマスターを操作できる自由度の高いシステムを導入できた
- 『DocuWorks』と連携してFAXを自動振り分けし、月約160時間の工数削減を実現した
- システムを経由した注文の入力ミスがゼロになり、担当者不在時もカバーできる体制が整った
複雑な仕様と多様な帳票で進んだ属人化。手入力の負担とミスのリスクが課題に
──導入前、受発注業務ではどのような課題があったのでしょうか?
板垣さま:お客さまごとに注文書の書式が異なり、受発注業務が属人化していたことが課題でした。私たちが扱う鋼板は、お客さまによって規格や板厚、幅、長さなどが細かく異なります。現在もFAXでの注文が多く、手書きの帳票に加えてシステムから出力したもの、メール添付のPDFやExcel、電話連絡など、注文形式もさまざまです。
注文書から読み取るべき情報や特殊な仕様は、日ごろから担当している人でないと判断しにくい場面が多くありました。そのため、担当者が休んだときや引き継ぎが発生したときに、誰でも正確に製品を手配できる体制を整えるのは簡単ではありませんでした。
──手作業による入力負担や、それにともなうミスはありましたか?
太田さま:入力の負担はかなり大きく、5名体制で月に約300時間をかけていました。『DocuWorks』で受信したFAXをそれぞれが確認し、基幹システムへ手入力する流れです。販売量がここ数年で20~30%増加しましたが人員はそのままだったため、現場の負担はかなりのものでした。
板垣さま:そうした大量の入力作業のなかで、打ち漏れやサイズの入力ミスもたびたび起きていました。お客さまによっては、A4のPDF4枚分におよぶ大量注文もあります。何十行もの明細をまとめて手作業で登録することになり、仕様の入れ漏れや入力間違いが起こりやすい状況でした。
──入力ミスが起きた場合、業務や会社全体にはどのような影響が出ていたのでしょうか?
板垣さま:入力段階では気づけず、お客さまのもとに異なる製品が届いてからご指摘を受けることもありました。出荷前に行う配送手配の段階や工場から「いつも出している明細と違う」と指摘されて判明することも少なくありません。それでも、すべてのミスを事前に防ぐのは難しく、見逃したまま進んでしまうケースもありました。
太田さま:少し大きめのサイズであれば、小さく再加工して再利用できる場合もあります。ただ、特別な寸法の製品は再加工できないことが多く、会社の損失につながるケースも出てきます。さらに大きかったのが、お客さまに誤った製品を届けてしまうことで信頼を損なうリスクです。金銭的な損失だけでは済まず、会社としての信用にもかかわる。その点に強い危機感を持っていました。
現場に寄り添う基盤構築と、マスター運用の自由度。導入を後押しした提案力
──受発注業務のシステム化を検討し始めたのは、どのようなきっかけがあったのでしょうか?
太田さま:大きなきっかけは2つあります。ひとつは、会社の上層部がデジタル化を進め始めたこと。もうひとつは、受発注バスターズの代表が直接現場に足を運んでくださったことです。当時は販売量がしだいに増えており、人員を増やして対応するのか、システムを導入して効率化するのか、判断を迫られていました。
それまで社内ではデジタル化に本格的に取り組んでいませんでしたが、以前からRPA導入でお付き合いがあったご縁もあり、私たちの現場を見にきていただいた経緯があります。実際の受発注業務を見たうえで「これなら自動化できます」と具体的に提案していただけたので、社内でも「いろいろ試してみよう」という前向きな空気が一気に高まりました。
──他社サービスとの比較検討も行われたと思いますが、『受発注バスターズ』を選んだ最大の決め手は何だったのでしょうか?
太田さま:最大の決め手は、システムの基礎をしっかり構築してもらえることに加え、マスターデータを自分たちで操作できる自由度の高さでした。
他社のAI-OCRサービスも検討しましたが、多くは「帳票を読み取ってExcel化する仕組みは提供するので、そのあと必要な処理は自社で組んでください」という考え方でした。一方で、受発注バスターズさんは基礎部分をきちんと作り込みながら、私たちがマスターを柔軟に運用できるようにしてくれます。
いわば「自社開発のような自由度」と「構築を任せられる安心感」が両立していたわけです。ここが、現場へ無理なく導入を進めるうえで非常に大きなポイントでした。
──自社の要件に合わせたカスタマイズや、導入前のサポート体制はいかがでしたか?
太田さま:現場の近くまで足を運び、私たちの業務に寄り添って提案してくれるサポート力には、とても助けられました。
他社のシステムでは、「この仕組みに御社の業務を合わせてください」という形でパッケージを渡されることも少なくありません。その点、受発注バスターズさんは「こう使えば、こんなこともできます」と、実務に沿ってさまざまなパターンを直接提案してくれました。
当初は予定していなかった『DocuWorks』との連携も、そのひとつです。私が「連携してもらわないと困る」と要望したところ、あとから機能を追加し、連携を実現してくれました。現場の要望に対して、導入途中でも必要な機能をきちんと積み上げてくれる。その柔軟な対応力が、導入を大きく後押ししてくれたと感じています。
『DocuWorks』連携でFAX業務を効率化。属人化を解消し、月約160時間の工数削減へ
──実際にシステムを導入されてから、日々の業務フローはどのように変化しましたか? 『DocuWorks』との連携状況もあわせてお聞かせください。
板垣さま:お客さまから届くFAXの処理がかなりスムーズになり、作業効率も大きく上がりました。 特定のFAX番号から受信した注文書を、『DocuWorks』上の各担当者フォルダに自動で振り分ける機能と組み合わせ、『DocuWorks』上から『受発注バスターズ』へアップロードができる連携機能を受発注バスターズさんに開発していただき、さらにスムーズに処理できるようになりました。読み取りを待つあいだに、別の取引先への対応などほかの業務を進められるようになり、待ち時間を持て余さずに済むので、業務の切り替えもしやすくなっています。
──導入前の課題だった業務の属人化や、手入力にかかっていた処理時間については、どのような成果が出ていますか?
太田さま:工数は大幅に減り、業務の属人化も解消に向かっています。現在、システムで対応している帳票数は全体の10%未満です。ただ、注文件数の多い取引先を優先して設定したことで、全体の30〜40%のボリュームをカバーできるようになりました。
その結果、月約300時間かかっていた受注業務のうち、3分の1を削減できています。さらに、システムの処理中に別の業務を進められる効果もあるので、ミスの削減なども含めると全体では1人分に近い、月約160時間の業務負荷軽減につながっています。
又、新人教育や引継ぎも、バスターズで変換して基幹システムに取り込むだけという簡素化も可能になりました。
板垣さま:私が急に休んだときでも、ほかのメンバーがカバーしやすくなった点も大きな成果です。これまでは、お客さまごとの複雑な仕様を把握していなければ入力できませんでした。
今は、ほかの担当者に『DocuWorks』から『受発注バスターズ』へデータを取り込んでもらえれば対応できます。備考や特殊な仕様など、必要な情報も自動で反映してくれるようになりました。新人教育や引き継ぎの負担も、かなり軽くなっています。
──手入力によるミスは改善されたのでしょうか?
板垣さま:『受発注バスターズ』を経由して処理した注文では、入力ミスが完全にゼロになりました。以前は、A4サイズのPDF4枚分におよぶ明細をまとめて入力する際、仕様の入れ漏れやサイズの入力間違いがどうしても起きていたんです。ただ、本運用を始めてからは、大量の注文でも正確にデータ化できています。ミスを心配しながら作業することがなくなったのは、大きいですね。
太田さま:現場の心理的な負担が減り、モチベーションの向上にもつながっていると感じます。以前はミスが見つかるたびに、工場との調整やそのあとの対応に追われていました。そうした余計な作業がなくなり、本来の業務に集中できるようになった。これは大きな変化です。
導入してから数ヶ月経った際、実際に受発注業務を担当している5名のメンバーに話を聞いたところ、「効率が上がって本当に助かっているので、『受発注バスターズ』は絶対にやめたくない」という声も上がり、継続の意思決定をしました。それだけ現場にとって、手放せないシステムになっています。
属人化の悩みを抱える中小企業の力に。手厚いサポートを追い風に、さらなる社内DXへ
──『受発注バスターズ』のサポート体制について、どのように評価されていますか?
太田さま:全体として、とても満足しています。なかでも助かっているのは、対応の早さとフィードバックの的確さです。たとえば読み取りエラーが発生したときも、単に修正して終わりではありません。「なぜエラーになったのか」という設計上の背景まで丁寧に共有してもらえるので、こちらも仕組みを理解しながら運用できます。
──どのような課題を抱えている企業に『受発注バスターズ』をおすすめしたいですか?
板垣さま:人手が限られ、業務が属人化している企業には、ぜひおすすめしたいです。特定の担当者が休んだり退職したりすると業務が止まってしまう。そうした綱渡りのような状態にある現場には、とても相性がよいと思います。
また、システム導入を検討していても、自社向けに一から仕組みをつくる時間を確保しにくい企業にも向いています。専任のIT担当者がいなくても、実務に寄り添いながら細かな調整まで対応してもらえるので、無理なく自動化を進めやすい点も魅力です。
太田さま:弊社では総務部での活用も始まり、生産部でも利用検討中ですので、アナログな作業が残る企業には、どの部署でも受発注に限らず大きな可能性があると感じています。 音声入力や手書きFAXのデータ化など、いまだに手作業に頼る現場は少なくありません。 そうした業務のDXを支える存在として、今後のさらなるサービス展開にも期待しています。
写真・文・編集:事例のプロ
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